INITRD(4) | Linux Programmer's Manual | INITRD(4) |
initrd - ブートローダーによって初期化された RAM ディスク
/dev/initrd は、メジャー番号 1、マイナー番号 250 が割り当てられた 読み込み専用のブロックデバイスである。 普通、 /dev/initrd の所有者は root.disk であり、モードは 400 (root のみが読み出し可能) である。 もし、Linux システムに作成済の /dev/initrd ファイルがなかった場合、以下のコマンドで作成することができる:
mknod -m 400 /dev/initrd b 1 250
chown root:disk /dev/initrd
また、 /dev/initrd を使用するためには、 "RAM disk" と "Initial RAM disk" の両方の機能が Linux カーネルに直接組み込まれていなければならない (例えば、カーネルのコンパイル時の設定で CONFIG_BLK_DEV_RAM=y かつ CONFIG_BLK_DEV_INITRD=y とする)。 /dev/initrd を使用する場合には、RAM ディスクドライバをモジュールとして ロードすることはできない。
/dev/initrd スペシャルファイルは読み込み専用のブロックデバイスである。 このデバイスはカーネルが起動される前にブートローダー (boot loader) によって初期化 (例えば、ロード) される RAM ディスクである。 その後、カーネルは /dev/initrd の内容を二段階のシステム起動 (two-phase system boot-up) で利用することができる。
最初のブートアップ段階 (first boot-up phase) では、カーネルは (例えば、ブートローダーによって初期化された RAM disk である) /dev/initrd の内容を初期ルートファイルシステム (root file-system) としてマウント して起動する。 第二段階では初期ルートデバイスに含まれているものから、追加のドライ バやその他のモジュールがロードされる。 追加のモジュールがロードされた後、新しいルートファイルシステム (すなわち、通常時のルートファイルシステム) が別のデバイスからマウントされる。
initrd を利用した時は、システムは次のようにブートする:
initrd を用いる場合に、カーネルのブートアップ操作に影響を与える ブートローダーオプションは次のようなものがある、
デフォルトでは、カーネルの設定 (例えば、 rdev(8) を用いてカーネルファイル内にセットされたもの、または、コンパイル時にカー ネルファイル内に埋め込まれたもの)、 または、ブートローダーのオプション設定によって指定されたものが通常時ルー トファイルシステムとして使われる。 NFS マウントされた通常時ルートファイルシステムを利用する場合、 nfs_root_name と nfs_root_addrs ブートオプションを使って NFS の設定を与えなければならない。 NFS マウントされたルート (ファイルシステム) についての より詳しい情報は、カーネルのドキュメントファイル Documentation/filesystems/nfsroot.txt を参照のこと。 ルートファイルシステムの設定についてのより詳しい情報は、 LILO と LOADLIN のドキュメントも参照のこと。
また、 /linuxrc を用いる事によっても通常時ルートファイルシステムデバイスを変更すること ができる。 /linuxrc を用いて、通常時ルートデバイスを変更するためには、 /proc がマウントされていなければならない。 /proc をマウントした後で、 /linuxrc は proc ファイル /proc/sys/kernel/real-root-dev, /proc/sys/kernel/nfs-root-name, /proc/sys/kernel/nfs-root-addrs に書き込みを行い、通常時ルートデバイスを変更する。 (NFS ではない) 物理的なルートデバイスの場合、 /linuxrc が新しいルートファイルシステムのデバイス番号を /proc/sys/kernel/real-root-dev に書き込むことで、ルートデバイスが変更される。 NFS ルートファイルシステムの場合、 /linuxrc が NFS の設定を /proc/sys/kernel/nfs-root-name と /proc/sys/kernel/nfs-root-addrs に書き込み、それから /proc/sys/kernel/real-root-dev に (疑似 NFS デバイスナンバーである) 0xff を書き込むことで、 ルートデバイスが変更される。 例えば、次のシェルコマンドラインにより、通常時ルートデバイスを /dev/hdb1 に変更できるだろう:
また、NFS の場合、次のようなシェルコマンドラインにより、 193.8.232.2 という IP アドレスを持つ "idefix" という名前の システムの、通常時ルートデバイスとして、 ローカルネットワークの 193.8.232.2 という IP アドレスを持つ NFS サーバの NFS ディレクトリ /var/nfsroot をマウントするように変更できる:
echo 0x365 >/proc/sys/kernel/real-root-dev
echo /var/nfsroot >/proc/sys/kernel/nfs-root-name
echo 193.8.232.2:193.8.232.7::255.255.255.0:idefix \
>/proc/sys/kernel/nfs-root-addrs
echo 255 >/proc/sys/kernel/real-root-dev
注意: ルートファイルシステムを変更するために /proc/sys/kernel/real-root-dev を使うのは以前の方法である。 ルートファイルシステムを変更する新しい方法についての情報は、 Linux カーネルソースに含まれる Documentation/initrd.txt ファイルや、 pivot_root(2) や pivot_root(8) を参照してほしい。
initrd が実装された主な目的は、システムインストール時に、モジュール化されたカー ネルの設定を可能にすることであった。
次のような流れのシステムインストールが可能になる:
上記の動作での /dev/initrd の役割のキーポイントは、初期カーネルの選択や大きなジェネリックカーネル、 カーネルの再構築なしに、通常のシステム操作で再利用可能な設定データを利 用することにある。
2 番目のケースは、一つの管理上のネットワークにおいて、異なる設定のハー ドウェアのシステム上で Linux を動作させるためのインストールを行う場合 である。 このようなケースの場合、ごく小数のカーネルのセット (理想的にはたった一 つのカーネル) のみを利用し、システム固有の設定情報は可能な限り小さくす ることが望ましいであろう。 この場合、全ての必要なモジュールが入った共通ファイルを作成する。 そして、 /linuxrc ファイル、または、 /linuxrc から実行されるファイルのみを異なったものにしておく。
3 番目のケースは、より便利な復旧用ディスクを作る場合である。 ルートファイルシステムのパーティションの位置といった情報は ブート時に必要ないため、 /dev/initrd からロードされたシステムは、 必要な正常性チェックを行った後で、ユーザーへの問い合わせや自動検出 (もしくはその両方) を行うことができるようになる。
(他にもたくさん例があるだろうが) 最後の例としては、 initrd を利用すると、CD-ROM 上の Linux ディストリビューションを より簡単に CD-ROM からインストールすることができるだろう。 ディストリビューションは、 LOADLIN を使って、フロッピーを全く利用せずに CD-ROM から /dev/initrd を直接ロードすることができる。 また、 LILO ブートフロッピーを使ってブートを行い、 /dev/initrd を通して CD-ROM からより大きな RAM ディスクを起動することもできる。
/dev/initrd
/dev/ram0
/linuxrc
/initrd
chown(1), mknod(1), ram(4), freeramdisk(8), rdev(8)
Linux カーネルソースの initrd.txt、 LILO のドキュメント、LOADLIN のドキュメント、SYSLINUX のドキュメント
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
2010-09-04 | Linux |