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SCHED_SETATTR(2) Linux Programmer's Manual SCHED_SETATTR(2)

名前

sched_setattr, sched_getattr - スケジューリングポリシーと属性の設定と取得を行なう

書式

#include <sched.h>
int sched_setattr(pid_t pid, const struct sched_attr *attr,
                  unsigned int flags);
int sched_getattr(pid_t pid, const struct sched_attr *attr,
                  unsigned int size, unsigned int flags);

説明

sched_setattr() システムコールは、 pid で指定された ID を持つスレッドのスケジューリングポリシーと関連する属性を設定する。 pid が 0 の場合、呼び出したスレッド自身のスケジューリングポリシーと属性が設定される。

現在のところ、 Linux では、 以下の「通常」の (つまり、リアルタイムではない) スケジューリングポリシーが、 policy に指定できる値としてサポートされている。

標準の、ラウンドロビンによる時分割型のスケジューリングポリシー。
「バッチ」形式でのプロセスの実行用。
「非常に」低い優先度で動作するバックグラウンドジョブ用。

どの実行可能スレッドを選択するかについて、より正確な制御を必要とする 時間の制約が厳しい特別なアプリケーション用として、 いろいろな「リアルタイム」ポリシーもサポートされている。 プロセスがこれらのポリシーをいつ使用できるかを決めるルールについては、sched(7) を参照。 policy には以下のリアルタイムポリシーを指定できる。

ファーストイン、ファーストアウト型のポリシー。
ラウンドロビン型のポリシー。

Linux では以下のポリシーも提供されている。

デッドライン (応答期限) ベースのスケジューリングポリシー。詳細は sched(7) を参照。

attr 引き数は、 指定したスレッドの新しいスケジューリングポリシーと属性を定義した構造体へのポインターである。 この構造体は以下の形式である。


struct sched_attr {

u32 size; /* この構造体のサイズ */
u32 sched_policy; /* ポリシー (SCHED_*) */
u64 sched_flags; /* フラグ */
s32 sched_nice; /* nice 値 (SCHED_OTHER,
SCHED_BATCH) */
u32 sched_priority; /* 静的優先度 (SCHED_FIFO,
SCHED_RR) */
/* 残りのフィールドは SCHED_DEADLINE 用である */
u64 sched_runtime;
u64 sched_deadline;
u64 sched_period; };

この構造体のフィールドは以下の通りである。

このフィールドには、 構造体のバイト単位のサイズを設定する。 sizeof(struct sched_attr) を指定すればよい。 指定された構造体がカーネル構造体よりも小さい場合、 追加となるフィールドは 0 とみなされる。 指定された構造体がカーネル構造体よりも大きい場合、 カーネルは追加のフィールドが 0 であるかを検査する。 0 でない場合は sched_setattr() はエラー E2BIG で失敗するので、 size をカーネル構造体のサイズに更新する必要がある。
ユーザー空間の sched_attr 構造体のサイズがカーネル構造体のサイズと一致しなかった場合の上記の動作は、 このインターフェースを将来拡張できるようにするためである。 サイズが大きい構造体を渡す行儀の良くないアプリケーションも、 将来カーネルの sched_attr 構造体のサイズが大きくなったとしてもおかしくならない。 この仕組みにより、 将来的には、 大きなユーザー空間 sched_attr 構造体があることを知っているアプリケーションで、 大きいサイズの構造体に対応していない古いカーネル上で動作しているかを判定することができる。
このフィールドはスケジューリングポリシーを指定する。 上記のリストにある SCHED_* 値のいずれかを指定する。
このフィールドはスケジューリング動作の制御を行う。 現在のところ、サポートされているフラグは SCHED_FLAG_RESET_ON_FORK の一つだけである。 このフラグが指定されると、 fork(2) で作成された子プロセスは特権が必要なスケジューリングポリシーを継承しない。 詳細は sched(7) を参照。
このフィールドは、 sched_policySCHED_OTHERSCHED_BATCH が指定された場合に設定される nice 値を指定する。 nice 値は -20 (高優先度) から +19 (低優先度) の範囲の数値である。 setpriority(2) を参照。
このフィールドは、 sched_policySCHED_FIFOSCHED_RR が指定された場合に設定される静的優先度を指定する。 これらのポリシーで指定できる優先度の範囲は、 sched_get_priority_min(2)sched_get_priority_max(2) を使って判定できる。 他のポリシーでは、 このフィールドには 0 を指定しなければならない。
このフィールドは、 デッドラインスケジューリングの "Runtime" パラメーターを指定する。 この値はナノ秒単位で表現される。 このフィールドと次の 2 つのフィールドは SCHED_DEADLINE スケジューリングにおいてのみ使用される。 詳細は sched(7) を参照。
このフィールドは、 デッドラインスケジューリングの "Deadline" パラメーターを指定する。 この値はナノ秒単位で表現される。
このフィールドは、 デッドラインスケジューリングの "Period" パラメーターを指定する。 この値はナノ秒単位で表現される。

flags 引き数は、このインターフェースの将来の拡張のために用意されている。 現在の実装では 0 を指定しなければならない。

sched_getattr() システムコールは、 pid で指定された ID を持つスレッドのスケジューリングポリシーと関連する属性を取得する。 pid が 0 の場合、呼び出したスレッド自身のスケジューリングポリシーと関連する属性を取得する。

size 引き数には、 ユーザー空間での sched_attr 構造体の大きさを設定する。 この値は、 少なくとも初期バージョンの sched_attr 構造体のサイズでなければならない。 そうでなかった場合、 エラー EINVAL で呼び出しが失敗する。

取得したスケジューリング属性は、 attr が指す sched_attr 構造体の各フィールドに格納される。 カーネルは attr.sizesched_attr 構造体のサイズを設定する。

呼び出し側が提供した attr バッファーがカーネルの sched_attr 構造体よりも大きい場合、 ユーザー空間構造体の残りのバイトは変更されない。 呼び出し側が提供した構造体がカーネルの sched_attr 構造体よりも小さく、 カーネルが値を返すのにもっと大きな空間が必要な場合、 sched_getattr() はエラー E2BIG で失敗する。 sched_setattr() と同様、 この動作はこのインターフェースの将来の拡張性を考慮してのものである。

flags 引き数は、このインターフェースの将来の拡張のために用意されている。 現在の実装では 0 を指定しなければならない。

返り値

成功した場合は sched_setattr() と sched_getattr() は 0 を返す。 エラーの場合は -1 が返され、 エラーの原因を示す値が errno に設定される。

エラー

sched_getattr() と sched_setattr() の両方が以下の理由で失敗する。

attr が NULL である。 pid が負である。 flags が 0 以外である。
ID が pid のスレッドが見つからなかった。

さらに、 sched_getattr() は以下の理由でも失敗する。

sizeattr で指定されたバッファーが小さすぎる。
size が無効である。つまり、 最初のバージョンの sched_attr 構造体 (48 バイト) よりも小さいか、 システムのページサイズよりも大きい。

さらに、 sched_setattr() は以下の理由でも失敗する。

sizeattr で指定されたバッファーがカーネル構造体よりも大きく、 一つ以上の超過バイトが 0 でなかった。
SCHED_DEADLINE の流入制御の失敗については sched(7) を参照。
attr.sched_policy が認識できるポリシーではない。 attr.sched_flagsSCHED_FLAG_RESET_ON_FORK 以外のフラグが含まれている。 attr.sched_priority が無効である。 attr.sched_policySCHED_DEADLINE で、 attr に指定されたデッドラインスケジューリングパラメーターが無効である。
呼び出した元が適切な特権を持っていない。
呼び出し元の CPU affinity マスクにシステムの全ての CPU のうち含まれていないものがある (sched_setaffinity(2) を参照)。

バージョン

これらのシステムコールは Linux 3.14 で初めて登場した。

準拠

これらのシステムコールは非標準の Linux による拡張である。

注意

sched_setattr() は、sched_setscheduler(2), sched_setparam(2), nice(2) の機能および setpriority の一部機能を持つ (ただし、setpriority(2) の、指定されたユーザーに所属するすべてのプロセスまたは指定されたグループのすべてのプロセスの優先度を設定する機能は除く)。 同様に、 sched_getattr() は sched_getscheduler(2), sched_getparam(2) の機能および getpriority(2) の一部機能を持つ。

バグ

バージョン 3.15 までの Linux では、 sched_settattr() は、 エラーの節に書かれている E2BIG の場合にエラーEFAULT で失敗していた。

関連項目

chrt(1), nice(2), sched_get_priority_max(2), sched_get_priority_min(2), sched_getaffinity(2), sched_getscheduler(2), sched_getparam(2), sched_rr_get_interval(2), sched_setaffinity(2), sched_setscheduler(2), sched_setparam(2), sched_yield(2), setpriority(2), pthread_getschedparam(3), pthread_setschedparam(3), pthread_setschedprio(3), capabilities(7), cpuset(7), sched(7)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

2014-10-02 Linux